乳幼児期の保育・教育(ECEC)における政府機関と研究機関の協働

OECDによる各国事例のレビュー

各国の乳幼児期の保育・教育(Early Childhood Education and Care: ECEC)における政府機関と研究機関の協働の事例をご紹介します。

本情報は、当センターの依頼により、OECDの教育スキル局ECEC担当者から2015年秋に直接ご提供いただき、当センターにて翻訳したものです。最新の情報については、リンク先の各ウェブサイト等でご確認ください。

 

国名リスト

1■米国
2■フランダース地方(ベルギー)
3■ブリティッシュ・コロンビア (カナダ)
4■イングランド(英国)
5■ノルウェー
6■ドイツ
7■スウェーデン
8■韓国
9■フィンランド
10■オランダ
11■デンマーク
12■アイルランド
13■オーストラリア

1■米国

米国教育科学研究所(IES)下の全米教育統計センター(National Center for Education Statistics)が、州政府を対象に、州規模の縦断データシステムの開発と実行を援助している。2009年の米国再生・再投資法のもと、教育科学省が20州に対し、個人の乳幼児期から就職に至るまでの測定時期のデータと諸データベースとを紐付けする事業を助成。データの中には、各個人がどの教師のクラスに在籍したかといった情報も含む。
(詳細) https://nces.ed.gov/programs/slds/

 

また、全米幼児教育研究センター(NIEER: he National Institute of Early Education Research)が、2003年から毎年『The State of Pre-School』を刊行している。これらの報告書によると、州からプリスクールへの助成、入園率、グループサイズ、子どもとスタッフの比率、教師(保育者)の資格、その他の質に関する重要な指標について、改善が見られている。加えて、NIEERは研究を発展させ、知識の格差を埋めるためのコミュニケーション方略を開発し、科学的知識をより効果的に幼児教育政策に援用するため、州だけでなく連邦政府の政策立案者や他の組織とも協力している。
(詳細) http://www.nieer.org/

2■フランダース地方(ベルギー)

チャイルド・ケアのスタッフのための自己評価ツールを開発するよう大学に依頼があった。ルーベン大学の経験教育研究センター(the Research Centre for Experiential Education)のチームが、自己評価ツール(SICS: Self-evaluation Instrument for Care Settings)を開発。SICSとは、園におけるプロセスからはじまるスタッフの自己評価のためのツールである。SICSでは、園環境での子ども自身とその経験に焦点をあて、子どもの発達にとっての最適な条件とは何かについて、スタッフが自覚することを助けるようにデザインされている。自己評価の手順は、3段階からなる。第一に、子どもの安定・安心と夢中・没頭について評価(アセスメント)を行う。第二に、観察内容について分析する。第三に、質を向上するために必要な行動について明らかにし実行する。ユーザーがSICSをより理解し、使用しやすいよう、マニュアルも作成されている。学校教育の領域に関して言えば、“Leerlingvolgsysteem voor Vlaanderen”という児童・生徒のモニタリングのためのシステムが開発された。これは、登録校のみ利用できるシステムで、テストを実施する度に、子ども一人ひとりの発達や成長を記録することができる。加えて、学校での活動における子どもの安定・安心(well-being)と活動への夢中・没頭(involvement)についても深く洞察する機会を提供する。モニタリングのプロセスは、ナーサリーにおける子どもたちの言葉や数の達成の度合いを測定するための複数のテストで構成されている。

 

また、教育訓練省および経済・科学・イノベーション省により、政策研究センター(Policy Research Centre)のもとで「調査と学校キャリア(Study and School Careers)」研究プロジェクトを始動した。このプロジェクトは、プリ・プライマリースクールから始まり労働市場に出るまでの、子どもたちの学校での経験に関する知を構築し、それら複数の学校間の移行における政策効果や教育改革の影響について明確にすることを目的とするものである。調査の一環として、プリスクール三年目、小学校一年目、そしてその後の子どもたちの非認知的特質について調べた。

3■ブリティッシュ・コロンビア (カナダ)

国勢調査(人口調査)を実施するため、地方自治体がMcMaster大学の研究機関(Offord Centre for Child Studies)の助成を行っている。当該研究機関では、キンダーガーデンでの子どもの発達状況についてEDI(Early Development Instrument)を用いて測定している。EDIは、個人単位の測定ではなく、集団レベルでのスクール・レディネスを測定するための尺度である。具体的には、次の5領域について測定する。1)身体的な健康とウェル・ビーイング、2)社会的コンピテンス、3)情緒的成熟、4)言語発達と認知的発達、5)コミュニケーション・スキル。これらの内容は、子どもたちの小学校入学に向けてどのように準備するかということと関連して、子どもたちのコミュニティの強みとニーズを反映している。
(詳細) http://offordcentre.com/

 

さらに、ブリティッシュ・コロンビアでは、州政府が、ある大学に設置された「乳幼児期の質の高い学習環境への投資」に焦点化したプロジェクトに研究助成を行ってきた。このプロジェクトは、地元の、地方の、国内の、そして国際的なレベルでのECECの質に関する議論を広げ、深めてきた。ECECや保育者の専門的な学びに関する様々なフォーラムで、活発な議論を促してきた。
(詳細) http://www.web.uvic.ca/~eyrd/index.php?option=com_content&view=article&id=52:investigating-quality&catid=45:minority-world&Itemid=83

4■イングランド(英国)

国立子育て研究アカデミー(the National Academy of Parenting Research)が2012年3月までの五年契約で、子育て究や家族研究のプログラムを実施し、課題を抱える家族に効果のある画期的な介入方法の試行と評価を行った。その中には「コミッショニング・ツールキット(Commissioning Toolkit)」というプロジェクトも含まれている。そこではイングランドで提供されている多くの子育てプログラムを解説したり、もっとも効果のあるプログラムを取り上げたりしている。
(詳細) http://www.kcl.ac.uk/ioppn/depts/cap/research/NAPR/index.aspx

 

イングランドでは、教育省が縦断調査(就学前教育の効果的な実践調査:EPPE調査)を実施し、異なる施設形態のECEC施設(園)への通園が子どもたちの知的発達および社会的/行動的発達に与える影響について、3歳から7歳まで分析を行った。この調査はさらに継続され(EPPSE調査)、プリスクールと小学校それぞれの、子どもたちの知的発達および社会的/行動的発達への影響について、3歳から14歳まで分析した。EPPE調査では3,000名以上の子どもたちとその保護者、家庭環境、プリスクール環境に関する情報を収集し、3歳児および4歳児へのプリスクール教育の影響について検討した。対象となった施設(園)の種類は幅広く、地方自治体のデイ・ナーサリー、幼保一体化センター、プレイ・グループ、私立のナーサリー、公立のナーサリー・スクールや公立のナーサリー・クラス等であった。調査の結果、質が「良い」とされた園はいずれの施設形態でも存在した。幼保一体化施設やナーサリー・スクールのうち園全体としての質が高いと認められた園ほど、子どもたちの知的達成がより高い傾向が認められた。
(詳細) http://www.ioe.ac.uk/research/153.html

 

イングランドではまた、Ofsted(the Office for Standards in Education)が、定期的な監査を実施している。この監査では、EYFS(Early Years Foundation Stage)と呼ばれるカリキュラムの枠組みの理念や要求との関連で、園全体としての効果を評価するために行うものであり、乳幼児期の学びや発達、そしてケアについて網羅している。監査報告書には園全体としての効果(EYFSの園が、子どもたちのニーズにどれだけ応えられているか)や、リーダーシップとマネジメントの効果、EYFSの園の質、そして子どもたちの成果(アウトカム)等に関する判断が記されている。
(詳細) https://www.gov.uk/government/organisations/ofsted

5■ノルウェー

政府から、ノルウェー研究会議(the Research Council of Norway)を通じて研究助成を行っている。例えば、PRAKUT(実践に基づく教育研究のためのプログラム)やEDUCATION 2020(2020年まで継続的に行う教育研究)への助成が挙げられる。これらの研究プログラムでは、政策形成、公的行政、専門家養成、そして専門的実践のための知識基盤の形成を目的としている。PRAKUTでは、ECEC、養成教育、現職教育の質向上のため、研究と実践をより近付けることを目指した。EDUCATION 2020では、子どもたちや若者、大人の発達や学習をより良いものとすることを目指した。このプログラムには、ノルウェーのECECの質に関する5年間の大規模学際研究プロジェクトも含まれ、政府の助成を受けている。2014年には、EDUCATION 2020とPRAKUTがひとつになり、FINNUTと呼ばれる大規模プログラムに統合された。FINNUTは、教育研究助成を行うための現在の枠組みを提供している(Ministry of Education and Research, 2015)。

 

EDUCATION 2020の一環として、ノルウェーのより良いECEC施設に関する調査(BePro: Better Provisions for Norway’s Children in ECEC, 2012-2017)が行われており、キンダーガーデンの質が子どもたちの発達とウェルビーイングに与える影響に焦点をあてている。この研究はイギリスのEPPE調査に倣っており、またドイツのNCKOを利用している。BeProの目的のひとつは、プロセスの質を全国的に評価するためのツールの開発である。BeProでは、ITERS、ECERS-R、ECERS-E等の既存のスケールを用いるとともに、保育者のかかわりのプロフィールを用いて、ECECのプロセスの質を評価している。
(詳細) http://www.hioa.no/Forskning-og-utvikling/Hva-forsker-HiOA-paa/FoU-ved-LUI/Better-Provision-for-Norway-s-children-in-ECEC/Better-Provision-for-Norway-s-Children.

6■ドイツ

連邦家庭・高齢者・女性・青少年省(the Federal Ministry of Family Affairs, Senior Citizens, Women and Youth)とドイツ連邦政府が、ドイツ青少年研究所(DJI: the German Youth Institute)の助成を行っている。ドイツ連邦教育研究省や様々な財団、欧州機構(EC)、その他の研究推進機関もDJIに貢献している。DJIは、OECDのECECネットワークにドイツ代表として参加するとともに、同じくECECスタッフ調査や乳幼児期の学びのアセスメントグループにも参加している。子どもや青少年、家族に関する研究や発達のトピックスと合わせて、関連する政策や実践にも焦点をあてた、ドイツでもっとも大きな社会科学研究所のひとつである。DJIは実証研究から得られた実践志向の知見や、最新の政策コンサルティング、そして研究支援と実践者への動機づけを提供している。科学、政策、実践者をつなぐ場としても機能している。DJIは、以下の4つの領域に総合的に取り組んでいる。1) 子ども、青少年、家族の発達や生活の状況、彼らがともに暮らす環境や方法、それらに関連する公的サービスや教育・社会福祉政策についての研究。2) 研究所で取り組む領域における公的サービスに関連する問題の解決方法の開発。3) 連邦政府、州政府、地方自治体やEUにおける、特に子ども、青少年、家族に関する政策やそれと関連する教育・健康・公正に関する政策のコンサルティング。4) 第三者へのサービス、具体的には(学術的)専門家、実践者、メディアへの実用的かつ専門的なコンサルティング、前述の3領域に関連する研究への協力や実施、情報提供。
(詳細) http://www.dji.de/index.php?id=1&L=1

 

ドイツでは、複数の機関や研究者らが加盟するNUBBEKコンソーシアムが、連邦政府、4つの連邦州、2つの財団から助成を受けている。NUBBEKは、調査というかたちで次の課題に取り組んでいる。第一に、信頼性の高い、基礎的な、経験知および実践知を得ること、第二に、過去あるいは現在の状況や問題について科学的に検証すること、第三に、実証的知見を活用して、のぞましい乳幼児保育・教育、子育てをデザインするための基盤を広げ、子育て家庭への支援を増やすこと、である。研究は全国調査のかたちをとり、ドイツ内の8つの州のそれぞれ異なる場所で、調査が実施されている。主なデータ収集は2010年の上半期に実施された。2歳から4歳までの2000名以上の子どもたちとその家族(うちおよそ3分の1は移民である)が調査対象となった。

7■スウェーデン

2003年に、National Agency for Education(スウェーデンの立法府リクスダーゲンおよび政府による政策やガイドラインを遵守する国家機関)により、プリスクールの評価とカリキュラムの使用に関して国レベルでの評価が実施された。その結果からは、プリスクールのナショナル・カリキュラムがどのように理解され、実践されているかについて、国および地方自治体の政策策定者に対して多くの重要な示唆が得られた。また、地方自治体によってプリスクールの質(例えば、クラスサイズ)に大きな格差があることも報告された。また、財政面やマネジメント面の支援の不足が、プリスクールのリソース不足につながっていることが示された。2008年に、二回目の国レベルの評価を実施。カリキュラムが導入されて十年経ち、その重要性がより一層増していることが明らかになった。この結果からは、地方自治体レベルと園レベルの両方で、広範にわたって評価が実施されていることを示している。様々な評価モデルが使用されており、例えば自己評価、同僚による評価、保護者調査、子どもを含めた評価が実施されている。

8■韓国

2005年12月に、乳幼児期の保育・教育の政策に関する研究を推進し、乳幼児期の保育・教育の実践をより効果的にサポートするため、韓国乳幼児保育・教育機関(Korea Institute of Child Care and Education)という国レベルの研究所が設立された。研究所の設立以前は、乳幼児期の保育・教育に関する政策研究は、教育部(KEDI)・国立女性政策研究院(KWDI)・国立保健社会研究院(KIHSA)のそれぞれによって独自に行われてきたが、それらを統一したのがKICCEである。KICCEでは、乳幼児期の保育・教育政策に関するあらゆる研究を実施し、データバンクとして機能し、教育と保育のいずれものステークホルダーが一つの場に会して対話する機会を提供している。研究所では、韓国の子どもたちを対象としたパネル調査(PSKC)を実施している。2006年から13年間の縦断調査である。2008年4月から7月の間に生まれた2078名の新生児を対象とし、出生前から7歳、9歳、12歳までの時期をカバーしている。PSKC調査では、包括的な、セクションを超えたデータにより、子どもの発達・成果と養育・保育支援との関係について明らかにすることを目的としている。分析は、1)韓国人の子どもたちの発達プロセス、2)保護者の養育に関する価値観と実践の経時的変化、3)乳幼児期の保育・教育の効果、4)乳幼児期の保育・教育に関する政策のインパクト、5)実験やプログラム評価、に焦点をあてている。

 

韓国では、教育科学技術部の指示により、韓国乳幼児保育・教育機関(Korea Institute of Child Care and Education)から2009年より『乳幼児教育年次報告書』が刊行されている。この報告書は、“韓国の乳幼児教育を一望できるもの”であり、都市から地方にいたるまでの乳幼児教育の現状に関する情報を提供している。質の指標、例えばスタッフと子どもの人数比率、グループサイズ、長時間開園している幼稚園の割合、学位(学士)を保有している保育者の割合、地方の教育庁(Provincial Offices of Education)で乳幼児教育について専門的に学んだスーパバイザ―の人数等の情報や、成果(アウトカム)の指標、例えば異なる種類の幼稚園における就園率等の情報が含まれる。報告書には、質の指標に関する最近のトレンドや、質に関する比較に基づく情報が書かれており、地方の教育委員会に配布されている。

 

さらに韓国では、教育科学技術部は、都市および地方の教育庁と全国の7つの乳幼児教育発達研究所(ECEDI)に委託し、実践志向の研究プロジェクトを実施している。教育科学技術部は、地方特例交付金によって、これらの研究プロジェクトを財政補助している。都市および地方の教育庁とECEDIでは、フル・デイ(全日保育)の幼稚園の正課外の活動プログラムや教師養成プログラム等、様々なプログラムを開発、実施している。さらに、幼稚園の保育者のカリキュラム作成を支援するための視聴覚教材の普及も行っている。さらに、韓国の保健福祉部は、支部組織である韓国チャイルド・ケア推進協会(Korea Childcare Promotion Institute)に委託し、政策や実践に必要な知見を得ることを目的に、チャイルド・ケア・センターの認定や保育者の資格等に関する研究を実施している。

9■フィンランド

健康福祉省が、保護者がECECの質をどのように捉えているかに関するオンライン調査を実施した。その結果、保護者の大半がECECのサービスに満足しており、スタッフの専門的能力を信頼していることが分かった。その反面、保育者の数が十分でないと保護者が感じていることも明らかになった。

10■オランダ

Pre-COOLという国内大規模コホート調査を実施。2歳から5歳までの5000名の幼児を対象とし、異なる種類のECEC施設への通園がもたらす短期的・長期的影響を測定。さらに、COOL5-18という追跡調査を実施中。Pre-COOLは、教育文化科学省が財政支援し、オランダ学術研究機関が実施している。

 

さらにオランダでは、オランダ・チャイルド・ケア・コンソーシアム(the Dutch Consortium for Child Care: NCKO)が政府の依頼により、デイケア・センターやプレイ・グループのプロセスの質・構造の質に関する大規模調査を実施している。プロセスの質を測定するために、ITERS-RやECERS-Rの要素およびスケールを、オランダの文脈に合うかたちで援用した。その結果を、NCKOが開発した観察評価スケールを用いたかかわりの質の測定で補完した。構造の質については、質問紙調査を行い、観察によって補完した。本調査は数年ごとに繰り返し実施しており、調査の集計結果を公表している。

11■デンマーク

「デイ・ケアに通う、社会的に困難を抱える子どもたちのための知識基盤型の取り組み」(VIDA)という研究プロジェクトで、「デンマークの一般のデイ・ケアが、社会的に困難を抱える子どもたちの人生における機会をどのように向上できるか」というリサーチ・クエスチョンについて調査を実施。この包括的調査では、一般的なデイケア・センターでの二種類の教育学的介入のうち、いずれが、社会的に困難な子どもたちの学びやウェル・ビーイングを促す上でより効果的かを検証し、記録している。ここでの全体としての目的は、子どもたちの個人的、言語的、社会的能力、そしてロジカル・シンキングの能力を活性化することである。本研究プロジェクトでは、デンマークの4つの地方自治体にある、120のデイケア・センターに通う6,000名の乳幼児を対象とした。インクルーシブな環境(ほかの子どもたちもいる通常のデイ・ケア環境)で介入を行い、介入方法は二種類あった。これら二種類の介入方法を比較するために、研究に参加したデイケア・センターは3つのグループに分けられた。第一のグループでは、子どもたちのウェル・ビーイングと学びに焦点をあてた(VIDAのモデル・プログラム)。第二のグループでは、保護者の参加と子どもたちのウェル・ビーイングや学びに焦点をあてた(VIDAのモデル・プログラム+保護者モデル・プログラム)。そして第三のグループでは、従来と変わらない方法で実践を続けた(統制群)。この研究プログラムは、デンマークの社会政策省により委託され、財政支援を受けた。

12■アイルランド

アイルランドでは、科学・政策アドバイザリー委員会が設立され、主要な政策立案者で構成されるプロジェクト・チームと運営グループも同時に設置された。両者は協働でアイルランドにおける研究課題を明らかにし、それらの研究課題については機能的かつ戦略的に監督している。

13■オーストラリア

国立研究機関である、子どもの教育とケアの質に関する機関(the Australian Children’s Education and Care Quality Authority: ACECQA)を創設。ACECQAは、乳幼児期の保育・教育に関する研究や評価事業を担っており、その取り組みは、継続的な質の向上を後押しし、政策や方略の形成につながるようなオーストラリアにおける乳幼児期の保育・教育に関するエビデンスの蓄積を支えるものである。2003年には、連邦政府や州政府、学識経験者、実践者の間で、EDI(カナダの子どもの発達測定ツール)をオーストラリアに取り入れる必要性について合意。地域子ども保健センター(the Centre for Community Child Health: CCCH)が連邦より助成を受け、60以上の地域でツールを試行し、その結果をふまえてAEDI(EDIのオーストラリア版)を開発した。2009年からは、AEDIを用いて小学校入学時のすべての子どもたちを対象に、発達における健康に関する国規模のデータを収集している。第一次調査の成功を受け、政府は、子どもたちの健康やウェル・ビーイングに関する国規模の継続的調査を引き続きCCCHに委託した。2014年には、オーストラリア版であることに言及しつつも、データ収集ツールとプログラムとの区別を明示するため、調査の名称をAEDIプログラムからオーストラリア乳幼児発達人口調査(the Australian Early Development Census : AEDC)へと改めた。