Cedep 発達保育実践政策学センター

日本睡眠学会第42回学術集会のご報告

日本睡眠学会第42回学術集会のシンポジウムにて発表しましたので、ご報告いたします。

日時・会場・テーマ

日時:2017年6月30日(金)14:40~16:40

会場:パシフィコ横浜 H会場 4F 413

テーマ

シンポジウム20.「女性の睡眠と健康を考える」

オーガナイザー:岡田(有竹) 清夏

保育士の健康と労働環境~全国保育・幼児教育施設調査から~」

淀川 裕美・高橋 翠
(発達保育実践政策学センター)

発表要旨

近年、待機児童問題や保育士不足、その背後にある潜在保育士等の問題から、保育士という職業への関心が高まっている。男性保育士も増えているものの、いまだ95%近くを女性が占める職業である。子どもたちの健やかな成長を支え、その母親である多くの女性の社会進出や家庭と仕事の両立を支える重要な職業であるにもかかわらず、保育士の平均勤続年数は他業種平均よりも低く、早期離職者が多いという問題に直面している。その背景には、乳幼児の命を預かり育てるという仕事の責任の重さ、職場の人間関係、業務量の多さ、勤務時間の長さ(休憩時間の少なさや残業の多さ)、給与の低さ、自身の体力への不安、疾病や体調不良、結婚や出産との両立の困難等が要因として指摘されており(e.g.松村, 2016; 高橋, 2016)、労働負荷が保育士のメンタルヘルスに不調をきたしバーンアウト傾向を高めること (e.g.森田・上村, 2011; 宮下, 2010)、特に保育経験年数が少ない保育士ほどバーンアウトに陥る危険性が高いことが報告されている(e.g.齊藤他, 2009)。平成20年の保育所保育指針改定では、在園児の保護者だけでなく地域の子育て支援も保育所の重要な役割として明記され、子どもや子育て家庭に関する保育士への期待は高まる一方である。そのような中、彼女らの心身の健康を維持し、専門職として成長しながら、より長く働き続けたい職業となるために、どのような支援が必要なのか。本報告では、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)が2015年度に実施した、全国の保育・幼児教育施設対象の「保育の質」にかかわる大規模質問紙調査の結果をご報告する。特に、保育士の負担感や体調、職務満足感等の実態や、人的・物的労働環境との関連について分析結果を報告し、心身の健康を維持・向上するための手立てについて考えたい。なお、本調査は東京大学ライフサイエンス研究倫理支援室から承認を受けたものである。

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