政策部門
現代の政策の研究は、教育学・保育学の領域にとどまらず、発達科学・医学・脳科学での最先端の知見や、心理学・保育学をはじめとした子育て・保育研究の蓄積、さらに哲学・歴史学・経済学・政治学・社会学などの人文・社会科学的な分析の成果を結集して行われることが求められています。発達保育実践政策学センターは、人文・社会・自然・学際融合の各領域を擁する総合大学としての東京大学のリソースを活かし、これらの各分野の最新の成果に基づく政策の研究の発展を図るとともに、政策形成・実施に資する実践的な知見の提示や政策提言、さらにはこれら政策の研究と実践を担う人材の育成を目指して活動を進めています。
これまでの政策研究は、心理学・保育学など子育て・保育を専門とする研究者や、保育所・幼稚園に関わる実務家などが中心となって進められてきました。それらは実践に即した政策の知見や政策形成に一定の貢献を成してきました。一方で、発達科学・医学・脳科学などの自然科学分野の知見が必ずしも政策に活かされているとはいえません。また、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究に代表されるように、就学前教育の効果について諸外国では社会科学的な研究が進んでいますが、日本では保育・幼児教育政策を専門とする社会科学の研究者自体が非常に少ないのが現状です。
本センターは、政策研究部門と発達基礎研究や子育て・保育研究、人材育成などの部門が連携しながら研究を行う学際的・文理融合的な組織であることが大きな特徴です。こうしたセンターの強みを生かしながら、国内外の比較を含めた事例研究、自治体や保育所・幼稚園等へのパネル調査と分析、海外の政策研究者や研究機関との連携・交流などを進め、政策研究の国際拠点の形成と日本の保育・幼児教育政策への貢献を行います。
取り組みの予定
子ども・子育て政策の検討を行い、質向上への具体的提言のためにどのような取り組みが可能か国内外の政策動向や各種調査、歴史的変遷をふまえて検討します。
合わせて、就学前教育・保育政策の在り方に関する理論的検討を行います。
具体的な取り組みの例
・基礎自治体への悉皆調査等
進行中のプロジェクト・研究成果
令和2年度
学会報告

論文
自治総研2020年6月号 (第500号)
> 論文閲覧先:地方自治総合研究所 月刊『自治総研』 投稿論文(PDF)
平成31年度/令和元年度
学会報告


日本保育学会第72回大会における研究発表のご報告から詳細をご覧になれます。
学会でのシンポジウム

日本乳幼児教育学会第29回大会における研究発表のご報告から詳細をご覧になれます。
論文

平成30年度
調査
平成30年度幼児教育の推進体制構築事業の成果にかかる調査分析の枠組みで以下の3つの調査を行っている。
幼児教育センターや幼児教育アドバイザーが、自治体における幼児教育の質向上に関する取組にどのような影響を与えているかを推定する。
→調査結果分析中。
幼児教育アドバイザーを派遣前と派遣後の二時点で調査を実施することにより、幼児教育アドバイザーの幼児教育施設による取り組みへの影響を推定する。
→調査中。
「幼児教育の推進体制構築事業」受託自治体(29自治体)において、幼児教育センターや幼児教育アドバイザーに関する各自治体の取組に一定のパターンが見いだせるのか、探索的に類型化を試みるとともに、取組や成果の要因について分析を行う。
また、各自治体の取組の事例も纏める。
→調査中。

研究実績

平成30年度の文部科学省委託研究のアンケート調査データの分析経過を報告し、年度末までの方向性や展望を示した。
平成29年度
調査
都道府県と市町村がどのように連携しながら保育政策を実施しているのかを調査した。(調査対象:石川県と金沢市、福井県と福井市)
→調査結果を分析中。
深井太洋(東京大学大学院経済学研究科・大学院生)による自治体調査を支援した。
この調査の目的は、近年の保育所拡充政策が子どもの発達や母親の就業にどのような影響があったのかを明らかにすることである。
→調査結果を分析中。
研究実績

平成28年度の文部科学省委託研究のアンケート調査データを分析し、幼児教育センター・幼児教育アドバイザー・研修の関係を明らかにした。

平成27年度の自治体調査の結果を公表した。
学会報告
Cedep主催公開シンポジウム 「人生のはじまりを豊かに~乳幼児の発達・保育研究のイノベーション~」
東京大学、2017年8月6日
「保育政策の実施過程」
日韓次世代学術フォーラム,亜洲大学校,2017年7月

平成27年度の自治体調査データを分析し、自治体の実施体制と保育政策の関係を検討した。