Cedep 発達保育実践政策学センター

第34回 発達保育実践政策学セミナー

日時
2018年5月30日 (水) 17:30〜19:00
場所
東京大学教育学部 第一会議室
講演

「保育園年中・年長児の他児に対する向社会的行動 子どもの内的表象、活動場面、保育士の関与・声かけ等との関連 」

西田 季里(発達保育実践政策学センター)

本研究は,子どもの社会性の発達を支える保育者の関わりについての知見を得るため,社会性の一つの現れである向社会的行動,すなわち,他者の利益のための自発的な行動にフォーカスする。保育園での自然場面観察によって,①年中・年長クラス児の他児への向社会的行動の実態(場面ごと・時期ごとの行動頻度,成功率,種類,対象など)および②園児から他児への向社会的行動場面における保育者の関与や声掛けの影響を明らかにすることを試みるものであり,2015年から足掛け3年に渡り,発達保育実践政策学センター関連SEED研究として進められている。本セミナーではこれまでの調査結果から得られた知見と,まだ分かっていないことを説明する。すなわち,これまでの調査から,年中・年長児の他児への向社会的行動は自由遊び場面で頻度も成功率も高いこと,1年間の縦断調査で行動頻度は減少したこと,行動頻度は他児の援助のニーズの増減の影響を受けること,より頻繁に向社会的行動をする子は保育者が関与しない場面でより多く向社会的行動をすることなどを紹介する。こうした年中・年長児の向社会的行動を理解するための知見が多く得られた一方,保育者の声掛けの影響についてはよく分からないままであった。今後のありうる調査の方向性として,向社会的行動に対する声かけに積極的な園での調査などが挙げられる。

「園庭大規模調査に基づくリーフレット作成と今後の展望」

辻谷 真知子(白梅学園大学・日本学術振興会特別研究員PD)(SEED研究代表者:秋田喜代美)

本報告では、2016年度に全国規模で実施した質問紙「園庭に関する調査」の分析結果をもとに2017年度(2018年)1月に作成したリーフレット「子どもの経験をより豊かに」について、その経緯・内容および反響の一部を紹介した。まず園庭大規模調査を実施した背景として、園庭の意義を再考すべき社会的背景と、ハード面・ソフト面の両方から園庭の質を考える必要性について述べた。次に、3つのパートに分けた調査概要と得られた実態について紹介した。その内容は、多くの園庭にある環境やない環境といった構造の質、子どもの経験やルールのあり方・保護者や地域との関わりといったプロセスの質、理念や価値などの志向性の質、そして振り返りや共有といったモニタリングの質という視点に分けられる。リーフレットはこれらの視点をもとに、どこからでも取り組める7つのStepで構成した。リーフレットに関するアンケートで「役に立ちそう」を選択した回答は、Step1「物理的環境」やStep5「具体的な改善の工夫」等について多くみられたが、ある園の長期にわたる園庭改修プロセスを示した「コラム」については、特に園庭環境の多様性が低い園や面積が小さい園でその回答が多くみられた。調査結果およびリーフレットへの要望から、今後は園外の地域活用や低年齢児に適した環境という視点でも検討が必要である。

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