Cedep 発達保育実践政策学センター

科研費 国際共同研究加速基金 (国際共同研究強化(B)) 23KK0042

子どもと自然の新しい関係のための教育理論とアプローチの構築:気候変動の時代の保育

ユネスコは2021年に「私たちの未来をともに再想像する(Reimaging Our Futures Together)」(UNESCO 2021)と題された報告書を発表した。この報告書は、人類と地球が脅威にさらされている現状をふまえ、我々の進む道を軌道修正し、未来を再構築するために、教育が持つ変革可能性を具体化することを求めている。その際に重要な課題となるのは、教育における自然観を捉えなおし、人間と自然の新たな関わりを拓くことである。

従来の保育において、自然は基本的に統制可能なものとして捉えられてきた。一方で、自然は美化され観念化されて、それ自体が「自然」であるとされる「子ども」と予定調和的に一体のものとして捉えられてきた。もう一方で、科学的な探究における「自然」は、子どもや人間から切り離され認識の「対象」とされてきた。それに対して、ユネスコの報告書は、「人間以上(more than human)」や「非人間(non-human)」といったポスト人間中心主義の概念を用いつつ、自然を自身の外部とみなすのではなく、自分を自然の一部として感じる教育が必要だと指摘している(永田 2022)。人間が招いた地球の危機に直面する中で、人間と地球の持続可能性のために、人間を社会的な存在であると同時に生態系の中に組み込まれている存在として捉え、自然や周囲の世界を統制可能な学びの対象とするのではなく、世界と共にあることを学ぶことが求められている(Common Worlds Research Collective 2020)。

では、このような保育は、どのような理論的基盤と、どのような教育アプローチによって可能なのだろうか。

本研究では、保育の探究プロジェクトの実践的な研究を行なってきた日本の研究グループが、ポスト人間中心主義の幼児教育の理論と実践を蓄積してきたスウェーデンとカナダの研究グループを、共同研究を通して強く結びつけ、3カ国のネットワークを構築し、子どもと自然の新たな関わりのための保育理論とアプローチを構築する。

研究メンバー

日本グループ

浅井幸子(東京大学)

野澤祥子(東京大学)

小玉亮子(お茶の水女子大学)

中村絵里(千葉大学)

松尾杏菜(お茶の水女子大学)

椨瑞希子(聖徳大学)

佐野良介(東京大学)

スウェーデングループ

Gunilla Dahlberg(ストックホルム大学)

Bodil Halvars(ストックホルム大学)

Ingela Elfström

カナダグループ

Veronica Pacini-Ketchabaw(ウェスタン大学)

Kathleen Kummen(キャピラノ大学)

Tatiana Zhakarova-Goodman(キャピラノ大学)

セミナー開催

2024年3月9日(土)10:00-12:00

国際セミナー「幼児教育におけるコモン・ワールディングの教育学」

2024年9月24日(火)17:00-19:00

国際セミナー「気候変動の時代の幼児教育 潜勢力の関係性のフィールドとしての主観性と学び」

定例会議実績

2023-2025年度|横スクロールでご覧になれます
2023年度 2024年度 2025年度
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2024年7月29日 2025年4月28日(拡大)
2024年11月3日
2024年12月29日

研究業績

KAKEN 科学研究費助成事業データベース > 子どもと自然の新しい関係のための教育理論とアプローチの構築:気候変動の時代の保育 をご覧ください。

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